【今回の要点】
・脳疲労の原因について
・脳回復のための成分一覧
・集中して落ちる睡眠導入法
【脳疲労の原因について】
脳疲労に注目が集まっています。疲労のほとんどが脳に起因することが分かってきたからです。
たしかに肉体的な疲労はむしろ健康的で、ストレスがたまったら走り出す人もいるほどです。疲労の原因物質と思われていた乳酸も実は疲労の解消物質だったことが判明しました。人類はかつてないほど肉体的に恵まれた生活をしています。
しかし脳は逆に人類史上最大の過労に直面しているのかもしれません。計算機としての酷使だけでなく、人間関係、運動不足、睡眠不足、偏った食生活が脳に回復の暇を与えません。
疲労のほとんどが脳疲労ならば、脳疲労を理解するだけで大きく改善できるはずです。脳疲労の原因と対策をまとめました。
原因は実にシンプルです。脳の活動は細胞の活動ですので、消費するのは「糖類」であり、その結果「活性酸素」が蓄積します。糖類が足らなくなると脂質が分解されてケトン体が消費されはじめます。
文字通り体を削るように脳は活動していますが、問題はしばしばオーバーワークしてしまうことです。脳は危険や問題を察知すると交感神経を亢進させ、脳細胞はエンジン全開となります。(参考:「ストレスとビタミン」)
エンジン全開となった脳細胞では過剰に酸化物質が生産され、その解消が追い付かなくなると一部は活性酸素として私たち自身を攻撃しはじめたり、たんぱく質の変性が起き始めます。
その結果、症状として現れるのが疲労、過労です。
疲労は「痛み・発熱」と並ぶ生体の三大危険信号です。疲労を感じた時点ですでに糖類の枯渇、活性酸素の蓄積が進み、それが症状として現れています。これらを回復するには糖類と抗酸化物質とアミノ酸といった回復成分の摂取と、質の良い睡眠が必要です。先ほどの原因と対策をもう一度ご覧ください。
脳疲労の回復のためには、原因物質に対応した回復成分の摂取と、それを有効に活用するための睡眠が必要だということです。原因と対策を整理したところで、回復方法を具体的にみていきます。睡眠が特に重要ですが、まずは回復成分の摂取が前準備です。
【回復成分の役割】
糖類と脂質は脳を活動させるための主要なエネルギー源ですが、これは通常の食事で賄えます。しかし抗酸化物質やアミノ酸は意識して摂取しなければ不足します。抗酸化物質はビタミンB群とビタミンEが特に不足になりがちですので積極的に摂るようにします。
しかし抗酸化物質でも除去が難しい脳疲労の原因物質としてアミロイドβが知られています。日常的に発生してるアミロイドβは正常な分解機構が衰えると徐々に蓄積し、10~20年後に認知症として症状が現れ始めます(個人差があります)。このアミロイドβの主要な分解機構がプラズマローゲンです。
血中プラズマローゲンは年齢と共に徐々に減少しますが、魚介類や鶏胸肉に豊富に含まれていることが知られており、サプリメントとして商品化されています。
疲労の回復だけではなく、脳の主要な構成物質であるアミノ酸の摂取も脳回復に必須です。特にグリシンは脳の神経系で重要なアミノ酸で、ぜひ睡眠前に摂取しておきたい成分です。
また毎日の食生活で気を付けたい食材もまとめられています。アメリカ・シカゴのラッシュ大学メディカルセンターでは、アルツハイマー型認知症に有効な食材をまとめて「The Mind diet Recommendations」として紹介しています。合計15種類の食材を10種類の有効な食材と、5種類の控えた方が良い食材に分けています。
この表を元にして約1000人のお年寄りを対象に約5年間追跡調査した結果、全15種類のうち、9種類以上を正しく守って食べていた人は、5種類以下だった人にくらべてアルツハイマー病の発症が53%も低い結果となりました。(出典:The Mind diet Recommendations)
以上が、脳回復で特に意識したい成分の一覧ですが、これらの成分がもっとも活躍するのが睡眠中です。最後に「いかにして眠るか」についてまとめます。
【集中して落ちる睡眠導入法】
睡眠の質向上のための研究は盛んで、ベッドやまくらや睡眠導入用のサプリメントから音楽まで様々です。しかし肝心の「眠り方」は不思議なくらい学ぶ機会に恵まれません。
米軍や先進企業では睡眠ノウハウが導入されています。主に3つあり、たとえば眠りに落ちる時間別に10秒、60秒、120秒で寝る方法として活用されています。(出典:How to Fall Asleep in 10, 60, or 120 Seconds)
【10秒で寝る方法】米軍式
1.口腔内を含め顔全体の力を抜いてリラックスします。
2.肩の力も抜いて、手を体の側面に落とします。
3.息を吐き出し、胸をリラックスさせます。
4.足、太もも、ふくらはぎをリラックスさせます。
5.静かな風景を想像して10秒間無心になります。
6.それでも眠れない時は「考えない」という言葉を10秒間繰り返します。
【60秒で寝る方法】4・7・8呼吸法
1.口を少し開いて、フーと音をたてながら息を大きく吐き出します。
2.口を閉じ、鼻から息を吸いながら頭の中で4秒数えます。
3.7秒間息を止めます。
4.口を少し開いて、フーと音をたてながら8秒間息を吐きます。
5.それぞれのサイクルの区切りをあまり気にせず無心に繰り返します。
6.4回以上繰り返してリラックスできたときはそのまま眠りにつきます。
【120秒で寝る方法】イメージ瞑想法
穏やかな風景や自分がそこにいるかのような情景を思い浮かべてください。
たとえば、滝、落ちる水の音、せせらぎ、さわやかな森の香りなどを想像します。
ここで重要なことは、そのイメージに脳内全体で浸り、余計なことを考えないことです。
心配事や関心事へ思考が戻ることを防ぎ、スムーズに睡眠へと導きます。
これら3つには共通点があります。それは「集中しながら、眠りに落ちる」こと。たしかに集中することは眠りに落ちるための必須要件です。しかしここで私はあえて「落ちる」方に注目してみたいと思います。
「眠りに落ちる」という言葉は単なる比喩とは思えないほど、私たちの実感に近い表現です。これはおそらく人類共通で、英語でもFall asleep(眠りに落ちる)と表現します。
意識の中で本当に落ちているのではないか?と思えるほど、私たちは眠りにつくとき薄らぐ意識の中に落ちていきます。この落ちる感覚を何とか利用できないものでしょうか。
ということで上の3つを参考に、落ちるイメージを強めてみます。
たとえば、一定リズムの呼吸法は上の通りですが、さらに深い海の底に沈んでいく自分をイメージします。そして海底まで沈み、そこに仰向けに寝転がり、光る海面を見上げてみます。
そしてもし、日常と切り離されたような「隔絶感」を味わうことができれば、眠りへの導入にきっと役に立つはずです。
個人的な感想を言えばこの方法で複雑な悩みが少し整理されるような気分になれます。しかし「集中して落ちる」イメージは人それぞれだと思います。以上のノウハウの中からぜひご自身に合った睡眠導入法を見つけてみてください。
尾池(工学博士)
わたしの睡眠導入法はかんたんです。
私の場合、眠りのサイトにログインすればすぐ落ちます!いつでもどこでもI Dとパスワードで3秒で入ります 笑
それは、冗談として‥つまりそれくらい脳疲労の状態だということでしょうか‥σ(^_^;)
緊急に疲労の回復が必要だと思いました。ほんとうの回復ではありませんが、好きなとこに熱中しているとアドレナリンが出て元気になります! 体を動かすと気持ちがいいです🎶
でもそれは一時的に麻痺してるだけで、栄養の摂取と睡眠以外に回復するすべはないですよね?
脳疲労の回復と睡眠‥勉強になりました。ありがとうございます🎶
Rin様 コメント大変ありがとうございます!たしかにすぐ眠れるということはかなりお疲れみたいですね。。疲労と眠気も、発熱と同様に感じた時はすでに遅い状態のようです。毎日お忙しいかと思いますが、もし時間に余裕ができた時は眠気を感じる前の就寝をおススメします(^_^)。運動されていらっしゃるとのことですので、十分な睡眠が加わるととても理想的な毎日になりそうですね。ご覧いただき大変ありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。oike